彼氏に「女の顔になったね」と言われた。それだけで、なんとも言えない気持ちになった。嬉しいような、不安なような。
SNSコンサルの仕事をしていると、撮影後や移動中のタクシーで、インフルエンサーたちがぽつりと本音をこぼす場面に立ち会うことがある。先日、美容系で活躍するインフルエンサーが「最近彼氏に顔が変わったって言われたんですよね」とスタイリストに話しかけていた。その瞬間の彼女の顔は、嬉しそうでも困っているわけでもなく、ただじっと何かを測るような表情をしていた。
あの言葉って、褒め言葉なの? それとも何かが壊れ始めているサイン?
恋愛で顔が変わるのは、比喩じゃない
ホルモンが顔を静かに書き換えていく
恋愛初期に大量に分泌されるオキシトシンは、肌のキメを整え、目の周りを明るく見せる作用がある。エストロゲンが活性化すると唇に自然な血色が出て、頬にわずかな丸みが戻ってくる。これは意識してどうにかなるものじゃない。体が勝手にやることだ。
鏡を見たとき、なんか今日いつもと違うな、と感じる日があるとしたら、それはたぶん本物の変化だ。気持ちの問題じゃなく、ホルモンの問題。
表情筋が変わると、顔の輪郭が変わる
もうひとつ、見落とされがちな話がある。笑う回数が増えると頬の筋肉が発達する。目でよく笑う人は、目尻の筋肉がよく動くようになる。これを毎日続けていくと、文字通り顔の形が変わっていく。
心理学にカメレオン効果という概念がある。長く一緒にいる人の表情パターンを、人間は無意識に真似し始めるというもの。長年付き合ったカップルが顔が似てくる、という話の正体はたぶんこれだ。だから恋愛で顔が変わるのは愛されている証拠でも、異変のサインでもなく、体と表情が正直に反応した結果にすぎない。
彼氏が言った言葉の本当の意味を解読する
女の顔になったね、という言葉は、言われた文脈によって意味が180度変わる。
褒め言葉として出てくるとき
付き合って数ヶ月、ふと彼が「なんか最近顔つき変わったよね、いい感じ」と言ったとする。これはたいてい、関係が安定してきたときに出る言葉だ。緊張がほぐれてきた、彼女が自分といることで変わった、という、ちょっとだけ誇らしい気持ちが混じっていることが多い。
そのとき、どきっとするか、ふわっとするか。自分の反応がいちばん正直な答えを持っている。
不安の前置きになっているとき
一方で、「最近なんか顔変わったよね…疲れてる?」とか「なんか違う感じがする」という形で来たとき。それは丁寧に聞いたほうがいい。
以前、チームのスタッフが話してくれたことがある。付き合って1年半の彼氏から「顔が変わった」と言われ続けて、最初は喜んでいた。でも数ヶ月後に別れを切り出されたと。振り返ると、その頃の自分は寝不足で、彼の連絡を待ちながら一日中スマホを手放せなかった。顔に出ていたのは恋愛の輝きじゃなく、じわじわと積み重なった疲弊だった。
いい方向に顔が変わる人と、曇っていく人の違い
いい変化が起きている人が持っているもの
インフルエンサーたちと関わっていると、なんとなくわかってくることがある。フォロワーから「最近綺麗になった」「顔が違う」と言われ続けている人に共通しているのは、恋愛に全振りしていないということだ。
パートナーがいても、仕事に熱中している時間がある。友人との約束を崩さない。スマホの通知を切って、何時間か没頭できる何かがある。そういう人は、顔に余裕が宿る。愛されているというより、自分が満たされているときの顔、とでも言えばいいか。
あるライフスタイル系インフルエンサーが「彼氏ができてから仕事が伸びた」と言っていたことがある。理由を聞いたら、「好かれようとするのをやめたから」と。
恋愛で顔が暗くなっていくパターン
反対に、恋愛で顔が曇っていく人にも、共通したパターンがある。
返事が来るまで他のことが手につかない。既読無視が怖くて、スタンプだけ送ってしまう。好きな服より、彼が好きそうな服を選ぶようになる。気づいたら、自分の時間が彼の存在を中心にぐるぐると再配置されている。
共依存と呼ぶかどうかはともかく、体はその状態をちゃんと顔に出す。目の下のクマ、力の抜けた頬、どこか遠くを見ているような眼差し。それが「顔が変わったね」という言葉として届くとき、本人はたいてい気づいていない。
自分を失わずに女の顔になる、ということ
顔を変えようとして変わった人を見たことがない
女の顔になりたい、と検索している人の多くは、愛されたい、モテたい、という気持ちの裏返しとして検索している。それはわかる。
ただ、正直なところ、顔を変えようとして変わった人を私は見たことがない。顔が変わった人は全員、何かに夢中になっていた。恋愛かもしれないし、仕事かもしれない、趣味かもしれない。ただ共通しているのは、自分を使い切っている感覚がある、ということだ。
顔に出るのは量じゃなく、質だ。どれだけ愛されているかより、どれだけ自分が機能しているか。
共依存のサインを見逃さないで
ひとつだけ、正直なところ、この点だけは絶対に気をつけてほしいことがある。
彼のことを考えていない時間が、1日の中にあるか。自分のためだけに使った時間が、週に何時間あるか。鏡を見るとき、自分のために見ているか、彼に見せるために見ているか。
これ、答えが出た瞬間に少しだけ怖くなるかもしれない。でも怖くなれるなら、まだ間に合う。
モテる顔は、隙のある顔じゃなく、余裕のある顔
撮影現場で見てきた、リアルな話
何万人にも見られているインフルエンサーたちが、実際にどんな顔でカメラに向かっているか。撮影現場に入るとわかることがある。緊張している人は、どんなにメイクが完璧でもどこか固い。余裕がある人は、すっぴんに近い状態でも目に何かが宿っている。あの、ふわっとした視線の柔らかさは、テクニックで出せるものじゃない。自分の人生がちゃんと回っているときに、自然と出てくるものだ。
モテるためにやること、の優先順位
モテたいなら、彼氏に執着することより先に、自分が面白いと思える何かを持っていること。これが私の出した結論だ。
インフルエンサーたちを見ていて気づいたのは、フォロワーが熱狂的に増える時期と、その人の私生活が充実している時期が、たいていぴったり重なるということ。偶然じゃないと思っている。人は、満たされている人間に惹かれる。それは画面越しでも、目の前の恋愛でも、同じ原理だ。
顔に出るのは、心の現在地
自分の顔を客観視するタイミング
彼氏に顔が変わったと言われたとき、まず確認してほしいことがある。
最近、彼のことを考えていない時間が1日の中にあるか。自分のためだけに使った時間が、週に何時間あるか。そして、久しぶりに会った友人が自分の顔を見て、どんな反応をしているか。
友人の反応って、意外と正直だ。「なんか疲れてない?」と聞かれるのか、「最近いい感じだね」と言われるのか。その差が、今の自分の状態をそのまま映している。

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