好きな人が優しすぎて、逆にしんどいです。
送ってきたのはうちのスタッフだった。恋バナなんて一度もしてこなかった子が、あの夜だけは違った。
優しくされて、しんどい?
正直、最初は意味がわからなかったよ。でも通話に切り替えて三十分聞いたところで、背中がざわっとした。これ、彼女ひとりの話じゃない。SNSの現場で三年、恋愛系の発信をしている人たちに届くDMを横から山ほど見てきたけれど、同じ形の苦しさが何度も何度も流れてくる。
天使みたいな人を好きになった。なのに、幸せじゃない。
天使のような人に惹かれるとき、心の中で起きていること
惹かれているのは優しさじゃなく、傷つかずにいられる安心感
天使のような人という言い方をする瞬間、ほぼ全員が同じ状況にいる。前の恋で削られたか、家庭でずっと気を張ってきたか、職場で人の顔色を読み続けたか。とにかく心が薄くなっている時期。
そこへ、怒らない人が現れる。否定しない人。話を遮らない人。
惹かれて当然でしょ。
ただ、そこで動いているのは恋というより避難欲求に近い。この人といれば刺されない、という判断が先に立っている。担当していたインフルエンサーの女性が雑談でぽろっと言ったことがあってね。
あの頃の私、恋してたんじゃなくて、休憩してただけだったかも。
見上げた瞬間、恋は動かなくなる
ここが一番やっかいなところ。
相手を天使と呼ぶ、その言葉の裏側で、自分を地面に置いている。天使と人間は付き合わないよね。神様に告白する人がいないのと同じ構造で、持ち上げた分だけ距離が固定される。
しかも本人は、無意識にその距離を守ろうとする。近づけば相手の欠点が見えるから。自分が拒まれる可能性も出てくるから。
だから片思いのままでいる。安全だから。
私は、進展しない恋の八割はここで止まっていると思っている。相手のせいでも、タイミングのせいでもない。
恋が進まない理由は、相手ではなく自分の立ち位置にある
釣り合わないという思い込みが、行動をじわじわ削る
釣り合わないと感じている人ほど、誘わない。連絡を短くする。相手の予定を先回りして遠慮する。
やってる本人は気遣いのつもり。でも受け取る側からすると、興味が薄い人にしか見えない。ここ、ほんとうにもったいない。
以前、男性発信者と飲んだとき、彼が苦笑いしながら言っていた。
一番好きだった子から、いちばん連絡が来なかったんですよ。あとで理由を聞いて、はぁ…ってなりました。
遠慮は伝わらない。伝わるのは行動の量だけ。
誰にでも優しい人の脈を、読み違える人の共通点
みんな同じ質問をする。優しくしてくれるけど、これって私だけ?
気持ちはわかるよ。ただ、その問いの立て方が沼を作る。
優しさの有無ではなく、優しさの質が変わるかどうかを見ないと一生答えは出ない。誰にでも笑顔を配る人が、あなたにだけ真顔で相談してきたら、それはもう別枠。全員に丁寧な人が、あなたの前でだけ言葉に詰まったら、そこに何かがある。
量を数えるのをやめて、変化を拾う。この切り替えができた人から抜けていく。
良い人すぎて怖いという直感は、半分あたっている
本物の優しさには、断る力がくっついている
優しい人が全員、心が澄んでいるわけじゃない。私が現場で見てきた限り、信頼できる優しさには必ず形がある。
無理なときは無理と言う。予定が埋まっていれば埋まっていると返す。嫌だと思ったことは、静かに嫌だと伝える。
つまり、断れる人。
逆に、何を頼んでも笑顔で受ける人には別の理由が隠れていることがある。嫌われるのが怖い。関係を切られたくない。自分の価値を、役に立つことでしか測れない。
それは優しさじゃなくて、恐怖からの供給なんだよね。
距離を置いたほうがいい三つのパターン
ひとつめは自己犠牲型。自分の睡眠も予定も差し出して尽くす人。付き合うと、相手が壊れるまで気づけない。優しさを受け取り続けた側が、あとで加害者みたいな気持ちになるのがつらい。
ふたつめは貸し借り型。優しさを配りながら、静かに帳簿をつけている。あれだけしてあげたのに、という言葉が一度でも出たら、そこから関係の空気が変わる。
みっつめは目的接近型。妙に距離の詰め方がうまい、共通の友人が誰もいない、話がやたら金銭や人脈に寄っていく。相談を受けていた発信者の周辺で実際に起きたケースだと、三回目の食事で投資の話が出た。ぐるぐる悩んだ末に彼女は連絡を切ったけれど、判断としては正解だったと思う。
怖いと感じた直感を、失礼だからと押し込めないで。
見極めるために、ここだけは見ておいてほしい
優しさの向け先が変わる瞬間
店員さんへの態度。これは昔から言われるけれど、見るべきは丁寧かどうかじゃない。注文を間違えられたときの反応。
そこで一瞬だけ素が出る。眉が動くか、声が硬くなるか、あるいはまったく揺れないか。
まったく揺れない人は、感情を出さない訓練を長くしてきた人。天使に見えるけど、内側はかなり疲れている可能性が高い。
こちらが弱さを出したときの返し方
これがいちばん確実だと私は確信している。
少しだけ格好悪い話をしてみる。仕事でミスした、落ち込んだ、うまくいかない。深刻すぎない濃度でいい。
本物なら、慰めない。解決策も急がない。ただ、こちらのペースに合わせて黙ってくれる。
演技の人は、ここで焦る。すぐに励ます、アドバイスを被せる、話題を自分に戻す。優しさを見せる場面が来た、と反応してしまうから。
一度試して、相手がぽかんとした顔で聞いてくれたら、その人は信じていい。
神格化をほどいて、同じ地面に立つ
相手を人間に戻す会話を、意識してやる
天使のような人ほど、欠点を聞かれた経験がない。だからこそ効く質問がある。
最近、誰かにイラっとしたことある?
断りたかったのに断れなかったこと、ない?
この二つを投げると、たいていの人が一瞬止まる。そして、ふっと表情が緩む。
自分の暗い部分に触れてもらえた、と感じるから。
モテる人がやっているのは口説き文句じゃない。相手が誰にも見せていない面を、いちばん先に引き受けにいく。それだけ。
あなたの生々しさを、隠さないほうが早い
嫉妬した。独占したい。連絡が来ないとそわそわする。
そういう感情を、天使の前では汚いものだと思ってしまう人が多い。好きになるほど自分が嫌になる、あの感じ。
でもね、相手からすると、感情をぶつけてくれる人のほうがずっと近い。全員が持ち上げてくるなかで、自分にだけ本音を渡してくる人。特別に決まってる。
きれいなまま好かれようとするから、いつまでも遠いんだよ。
幻滅が来たときが、恋のはじまり
付き合ってしばらくすると、必ず崩れる。約束を忘れる、機嫌が悪い日がある、思っていたより自分勝手。
そこで冷める人が本当に多い。世に言う蛙化ってやつ。
ただ、崩れているのは相手じゃない。こちらが貼りつけていた理想が剥がれただけ。
あの夜メッセージをくれたスタッフは、半年後にその人と付き合った。今も続いているし、この前ドキッとすることを言っていた。
天使じゃなくなってから、やっと好きになれました(笑)
言い得て妙な話でした。

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