彼の唇が、私の下唇をそっと挟んだ。はむ、と。
一瞬、頭が真っ白になる。えっ、これ何、どうすればいいの…。
体は固まって、視線は泳いで、心の中では小さなパニックが起きていた(笑)。
甘い空気のはずなのに、なぜか申し訳なさで胸がいっぱいになる、あの数秒。
ハムハムキスをされて、うまく返せなかった帰り道のこと。
SNSで恋愛や美容の発信を長く手伝ってきて、担当してきた女の子たちから、この手の相談を数えきれないほど聞いてきた。
ハムハムキスって、そもそも何をされてるの
名前は聞いたことがあっても、正体はぼんやり。そんな人が意外と多いキスでもある。
唇を甘噛みされる、あの感覚の正体
相手の唇を、自分の唇だけでやわらかく挟む。歯は立てない。舌も入れない。ふにゃっとした感触を押し当てて、軽く食む。それがハムハムキス。
フレンチキスより濃くて、ディープキスより軽い。ちょうど真ん中あたりの甘さ、とでも言えばいいのかな。
唇って、自分が思っているよりずっと敏感なパーツなんだよね。神経がぎゅっと集まっているから、触れられるとぞわっと反応する。彼が唇の温度や柔らかさを感じ取りやすいのも、この近さならでは。
火付け役は、あのドラマだった
この言葉が一気に広まったきっかけは、2014年のドラマ、失恋ショコラティエ。松本潤さんと石原さとみさんのキスシーンが、当時ものすごい話題をさらった。あの甘噛みの色っぽさに、画面の前でため息をついた女子がどれだけいたことか…!
かわいい響きとは裏腹に、由来はけっこう本格的な大人の恋愛描写。そこを頭に入れておくと、彼がこのキスを選ぶ理由も見えてくる。
なぜ彼はハムハムしてくるのか、頭の中をのぞいてみる
ここが一番知りたいところだよね。彼はいったい何を考えて、これをしてくるのか。
かわいくて仕方ない、が暴走する瞬間
心理学に、キュートアグレッションという現象がある。赤ちゃんや子犬みたいに愛らしいものを見たとき、思わずぎゅっと構いたくなる、あの衝動のこと。傷つけたいわけじゃない。愛おしすぎて、触れずにいられないだけなの。
彼が目の前の女の子を心底いとおしいと感じたとき、この衝動がハムハムという形で表に出る。甘噛みは、言葉にならない好意の裏返し。理屈より先に、体が動いちゃうやつ。
この話を教えたとき、担当していたインフルエンサーの子が、ぽろっと涙ぐんでね。じゃあ私、あんなに愛されてたんだ、って。
その先を期待している合図のときもある
ただ、正直に書いておきたいことがひとつ。全部が全部、純粋な愛おしさとは限らない。
ハムハムキスは密着度が高くて、じわじわ気分を高めていく力を持っている。この後もっと近づきたい、という下心の入り口に使う男性もいるってこと。ここを読み違えて舞い上がると、ちょっぴり切ない着地になることも…。
見分け方はシンプル。触れ方に余裕と優しさがあるか、それとも妙に急いでいるか。彼の目を見れば案外バレる。とろんと溶けた目なら本物、落ち着きなくギラついていたら、少し様子を見てもいい。
これは私の持論なんだけど、愛情か欲かは、キスの速さに出る。ゆっくりな人ほど、あなたそのものを味わっている。
ただ甘えたい、繋がっていたいだけの夜
意外と多いのが、ひたすら甘えたいだけ、というパターン。
今日は疲れたから激しいのは違う、でもこの子とはくっついていたい。そんな夜に、軽く長く続けられるハムハムはちょうどいい塩梅。眠る前のイチャイチャを、もう少しだけ引き延ばしたい男心なんだよね。
かわいいでしょ、これ。昼間は強がってる彼が、夜は唇を甘噛みしてくる。そのギャップにやられる子、あとを絶たないの。
タイミングでも、意味はまるで変わる
同じハムハムでも、いつされたかで温度がぜんぜん違う。
寝起きや眠りかけのそれは、無意識にこぼれた甘え。頭が働く前に体が寄ってくるんだから、理性の届かない好意そのもの。会話の途中でふいに来たなら、あなたの一言や表情に、彼の気分がふっと上がった合図。前後の文脈を思い出すと、彼の心がくっきり読めてくる。
ハムハムされて浮かぶ、こまかい疑問たち
ちょっと痛いのって、普通なの
唇だけの甘噛みなら、痛みはほぼ出ない。ぴりっとするなら、彼の力が強すぎるか、歯が当たっているサイン。我慢しなくていい。痛かったら、笑いながらそっと唇をゆるめて、力加減のヒントを体で返してあげて。彼だって、あなたが痛いのは本気で望んでいないから。
毎回長いんだけど、飽きられてる
むしろ逆。長く続くのは、名残惜しさの表れ。もう少しこの子と唇を重ねていたい、という気持ちが、そのまま時間になっているだけ。冷めている人は、こんなに丁寧に触れてこない。ただし、あなたが息苦しいなら話は別。遠慮なく一度離れて、息を整えてしまっていい。
急にされて、びっくりして引いちゃった
反射でのけぞっても、彼を拒んだことにはならない。驚きと拒絶は、まるっきり別物だから。落ち着いてから、びっくりしただけだよ、とひと言そえれば十分。素の反応が出るってことは、あなたが彼の前で油断できていた証拠。それって、いい関係の証でしょ。
固まっちゃう問題
経験ゼロでも、彼はがっかりしていない
キス経験が少ないと、うまく返せない自分にどんどん焦る。彼に申し訳ない、冷めさせたかも…。そんな不安で胸がきゅっと縮む。分かるよ。あの時の私も、頭の中で反省会が朝まで止まらなかった(泣)。
でもね。ここだけは声を大にしたい。彼は、あなたが固まったことにがっかりなんてしていない。
それどころか、恥ずかしそうに固まる姿を、たまらなく愛らしいと思っている男性のほうが圧倒的に多いの。うちのスタッフと飲みながらこの話になったとき、男性陣が口を揃えて言ってたもん。反応に困ってる感じ、あれがいいんだって。…ずるいよね(笑)。
気負わなくて大丈夫。動揺が漏れているくらいが、彼にとってはむしろご褒美だったりするんだから。
力を抜くだけ。明日から使える受け方
とはいえ、少しは返したい。その気持ちもよく分かる。難しいテクニックはいらない。守るのはひとつだけ。唇の力を、ふっと抜くこと。
きゅっと結んだ唇は、キスを拒んでいるように見えて、彼もリードしづらい。やわらかくほどいておくと、彼は動きやすくなるし、あなたの唇の柔らかさもちゃんと伝わる。
慣れてきたら、彼のリズムに合わせて、自分もほんの少しだけ挟み返してみる。それだけで空気がとろけて変わる瞬間がある。息を止めない。唇をふわっとゆるめておく。この二つさえ覚えておけば、もう固まらない。
本当に知りたかったのは、たぶんこれ
ここまで読んで、気づいた人もいるかも。ハムハムキスの意味を調べていたつもりで、本当に確かめたかったのは、彼がちゃんと私を好きなのか、そのひとつだったりする。答えなら、もう出てる。人は、どうでもいい相手の唇を、わざわざ甘噛みしたりしない。その面倒で愛おしい行為が向けられている時点で、あなたは彼にとって特別。安心して、その甘さを受け取っていいんだよ。
このキスを、親密さとモテに変える使い方
ここからは、受け身で終わらせない話。ハムハムキスは、二人の距離をぐっと縮める仕掛けにもなる。
受け身の中に、ひとつだけ動きを混ぜる
全部リードしてもらうのは、正直ラク。でも、たまにこちらが主導権を握ると、彼の熱が跳ね上がる。
やり方は拍子抜けするほど簡単。彼にハムハムされている途中で、こちらから彼の下唇を、そっと同じように挟み返すだけ。一回でいい。やりすぎると、ん、急にどうした感が出ちゃうから、さりげなく一回。
唇を操れる女の子は、それだけで男を夢中にさせる。これは発信の現場で、何度も目にしてきた事実。受け身一辺倒だった子が、この一手を覚えた途端、彼の態度が変わったって報告、ざらにあるの。
唇以外にも、ハムハムは効く
甘噛みの舞台は、唇だけじゃない。首筋、鎖骨、耳たぶ。柔らかくて敏感な場所は、どこもハムハムと相性がいい。あなたから耳元にそっと仕掛けたら、彼の余裕なんて一瞬でぞくっと崩れる。同じ場所を延々続けると単調になるから、唇から首、耳へと旅するように移していくのがコツ。マンネリで少し冷めていた空気も、これでふっと溶けたりする。
自分から仕掛けるなら、この瞬間
待つばかりじゃなく、こちらから動きたい夜もあるよね。狙い目は、彼が油断しているとき。ソファでだらっとしている、ハグの流れ、笑い合った直後。ふいに近づいて、下唇をはむっと挟む。予想外の一手に、彼はきっと固まる。さっきまで余裕そうだった人が、目を丸くして照れる姿…あれ、一度は拝んでみてほしい!
ぷっくり唇のほうが、断然おいしい
地味だけど、これがちゃんと効く。がさがさに乾いた唇より、ふっくら潤った唇のほうが、甘噛みの心地よさは段違い。彼の記憶に残る触感になる。
デート前は、寝る前のリップパックをひとつ足すだけでいい。触れられて恥ずかしくない唇でいること。それだけで、当日の余裕がまるっきり違ってくるから。
苦手なら、正直に伝えていい
ハムハムキスが、どうしても得意になれない人もいる。長すぎて息が苦しい、ゆっくりすぎてむずむずする。ある女の子なんて、上唇をむにーっと引き伸ばされて、鼻で息ができずに涙目になった、なんて笑い話をしてくれた(笑)。はぁ…好きな人とのキスが、耐える時間になるなんて、そんなの悲しすぎるでしょ。
苦手なのに、好かれたいからと我慢し続ける。それを私はおすすめしない。
伝え方には、ちょっとしたコツがある。まず、あなたとのキス好きだよ、と気持ちを先に置く。そのうえで、もう少し軽いのも好きかも、と要望をひとつだけ添える。否定じゃなくお願いの形にすれば、彼は驚くくらい素直に受け取ってくれるよ。

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