SNSコンサルという仕事をしていると、インフルエンサーたちと毎日のように話す機会があるが、その中で驚くほど多いのが彼氏の仕事に関する悩みだった。
きれいな服を着て、自撮りが上手くて、何万人にも影響を与えている人たちが、プライベートではそういう悩みを抱えている。好きなのに、一緒にいると疲れる。応援してるのに、何も変わらない。別れたいわけじゃないけど、このままでいいとも思えない。
そのモヤモヤを放っておくと、本当に自分が壊れる。それを、現場で何度も見てきた。
軽蔑と愛情が、同時に存在するあの感覚
好きな気持ちは本物。でも、仕事でまたミスしたと聞いたとき、転職を繰り返すと知ったとき、胸の中にじわっと広がるあの感覚は何だろうと思ったことはないか。
失望、なのか。軽蔑、に近いのか。そういう言葉を自分に当てはめることすら、ためらう。
去年、インフルエンサーと打ち合わせのあとに食事をした。仕事の話が一段落したとき、彼女がふっと表情を落として言った。彼氏のこと好きなんだけど、最近息が詰まる気がして。仕事うまくいってなくて、愚痴をずっと聞いてて。私が支えないとって思うのに、なんで疲れてるんだろうって、自分のことが嫌になって。
その言葉、帰り道もずっと頭の中に残ってた。
軽蔑と愛情は、同時に存在できる。むしろ、深く好きだった人に失望するほど、その二つは同じ温度で心の中に混在する。それを感じることは、あなたが薄情なのではなく、あなたが現実をちゃんと見ているということだ。
サンクコストという名の、見えない鎖
ここまで支えてきたのに、という感情は厄介だ。
経済学でいうサンクコスト、つまりすでに消えてしまって回収できない投資に引きずられて、本来すべき判断ができなくなる状態のことで、恋愛にもそのままあてはまる。使った時間と感情の量が多ければ多いほど、やめるという選択が遠くなる。
あ、これが別れられない理由だったのか
そう気づくだけで、少し楽になった人を何人も見てきた。別れないことが正解なのではなく、使ってきたものが多すぎて動けなくなっていただけ。それが理解できると、視界が少し開く。
別れるかどうかは、この段階では関係ない。ただ、なぜ動けないのかの理由だけは、はっきりさせておく価値がある。理由がわかれば、感情に振り回される時間が減る。
「変えよう」としている間は、何も変わらない
変えようとすること自体が、状況を悪化させている場合がある。そしてほとんどの場合、そのことに気づかないまま何ヶ月も過ごしてしまっている。
責められるほど萎縮する、負のループ
仕事がうまくいっていない人を責めると何が起きるか。自己肯定感がさらに下がる。行動力が落ちる。仕事がさらにうまくいかなくなる。ぐるぐると下に向かうスパイラルだ。
責めていないのに、彼が萎縮してる。そういう経験はないか。心配そうな顔で大丈夫?と声をかけるだけで、相手はまた心配させてしまったという罪悪感を感じる。優しさが、プレッシャーに変換される瞬間がある。
特にプライドが高い男性ほど、こうなりやすい。できない自分を見せることへの羞恥心が強いから、心配されればされるほど逃げ場がなくなって硬直する。そして硬直した状態で何かを変えることは、ほぼできない。
心配している側は良かれと思ってやっている。だからこそ、この構造は気づかれにくい。
全力で共感し続けることが、依存を育てる
話を聞いてあげること自体は悪くない。ただ、全力で聞き続けて感情を全部受け止め続けることは、話が別だよ。
仕事の愚痴を毎日吐き出せる相手がいるということは、彼氏にとって一種の安全地帯になる。ストレスを吐き出せる場所があるから、職場での問題を自分ごとにしなくて済む。あなたとの時間でリセットされた状態で翌日を迎えるから、変わる必要性を感じにくくなる。
ある意味、あなたが彼の成長を止めているかもしれない。
先ほどのインフルエンサーが、半年後にうちのスタッフに話してくれた内容がある。彼女が変えた行動のひとつが、愚痴を聞く時間を30分に限定することだった。最初は罪悪感があったと言ってたけど、不思議なことに彼氏が自分で解決策を考え始めたと言っていた。話し相手がいなくなれば、自分で考えるしかなくなる。
そりゃそうだ、と思った。
傷つけず、依存させず、自立を促す関わり方
感情の話だけで終わらせないのが、私がコンサルとして大事にしていること。ここからは具体的な行動の話に入る。
まず、やってはいけない行動を整理する
代わりに問題を解決してあげることが一番まずい。こうすればいいじゃない、あの上司にはこう言えば、と答えを渡し続けると、彼は考えることをやめる。自分で考えなくてもどうにかなると、学習してしまうから。
他の男性と比較する発言も、絶対にやめてほしい。同期が昇進した、友人の彼氏が稼いでいる、そういう情報を伝えることで相手の自己肯定感を瞬時に削る。刃物で切るように跡が残るし、傷ついた相手は内側に閉じていく。
経済的な援助をするのも危ない。一度それをすると、彼氏のなんとかしなければという感覚が薄れていく。あなたのお金で守られている安心感が、危機感を殺す。正直なところ、この点だけは絶対に気をつけてほしい。
この3つは、どれも相手を思いやるがゆえの行動だ。だからやめるのがつらい。でも相手を思いやるからこそ、やめる必要がある。
「関わりの深さ」と「干渉の多さ」は別物だ。深く関わりながらも、自分で考えるスペースを相手に残す。それが、恋愛における本当の支え方だと私は思っている。
小さな成功体験を、本人の行動に結びつけて返す
彼が何かうまくいったとき、よかったねで終わらせない。あのとき諦めずに続けたからじゃない?あなたが丁寧に確認する習慣、ちゃんと活きてると思う。そういうふうに、成功の理由を本人の行動に結びつけて返す。
自己肯定感が低い人は、うまくいっても「たまたまだ」と思う。その認知を少しずつ崩していくのが、パートナーにできる最も静かで確かな支援だ。
うちのスタッフのひとりが、彼氏に試したのもこれ。ありがとうじゃなくて、あなたが気遣いできる人だから助かった、と伝えるようにしたら、少しずつ彼が自分から動くようになったって言ってた。地味だけど、じわじわ効く。半年単位で見ると、変化がわかる。
ちなみに、これはSNS運用でも同じ話だ。インフルエンサーたちが持っている影響力の多くは、フォロワーに「あなたがいるから続けられる」と思わせる言語化の力だ。その力を、自分の恋愛にも使えばいい。
期限と条件を、二人で決める
いつまでに、何がどうなれば、自分はどう動くか。それを彼氏と一緒に決める。1年以内に収入が上がる見込みがなければ転職を本気で考えてほしい、でも、3ヶ月後にもし状況が変わっていなかったら二人の将来について改めて話し合う、でも、なんでもいい。
期限を設けることへの罪悪感を持つ人がいるけど、それは違う。むしろ期限のない待機状態の方が、二人にとって不健全だ。希望が幻想かどうかも、期限を切って初めて見えてくる。
最終通告みたいで怖い、と思うかもしれない。でも実際には、期限を決めることで彼氏が真剣に向き合い始めたケースの方が多い。ゴールが見えない場所では、人は本気になれない。
ここで大事なのは、脅しとして伝えるのではなく、二人の将来を本気で考えているから話したい、という文脈で伝えること。そのひと言が、話し合いの雰囲気をまったく変えるよ。

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